〔実践編〕


食べていいもの、悪いもの


1. 「糖質量の多い食品」を覚えましょう

 日本人の1日平均糖質摂取量は260g。野菜などのおかずから最低60g程度は摂取しているので、残った200gが主食と間食(飲み物を含む)からの糖質です。この200gをすべてご飯から摂取していると仮定すれば、お茶碗で3~4杯。このぐらいなら、誰もが毎日食べている量ですね。

 つまり、3食すべてで主食をやめれば、1日の糖質摂取量は60g程度。1食だけ、お茶碗に中盛りにしたご飯を食べたら、60gプラスで120gになります。LCHPを実践するにあたって、1日の糖質摂取量は60~120gという数値が一つの目安になります。

 ローカーボを推進する医師の中には、「ゼロであるべき」と主張する人もいます。もちろん、理論的な不備はありませんが、実行するとなると超困難。そこで、ある程度のラインで手を打つことになります。それが1日60gというわけです。

 このとき、くれぐれも注意していただきたいのは、「糖質を減らすこと」に気を取られすぎてはいけないこと。それより前に、「タンパク質と脂質を十分に摂取する」という条件を満たすルールを忘れないようにしてください。

 各食品に含まれる糖質の量については、文部科学省の食品成分データベースなどから算出できますし、書籍も発売されています。当サイトでも便利な一覧表を作成中ですので、完成までもう少しお待ちください。

食品別糖質量ハンドブック
食品別糖質量ハンドブック

2. 避けるべき食品

 LCHPで避けるべき食品の基本は、「ご飯・パン・麺類」といった主食であり、材料でいえば米や小麦などの穀物とその製品。それに、糖分(砂糖・コーンシロップ・ハチミツなど)です。

 その他、果物は果糖を多く含むのでアウト、野菜ならイモ類・マメ類・根菜類が要注意です。

 私たちが推奨するLCHPには、覚えやすい目安が一つあります。それは、「植物性ではなく動物性の食品を選ぶ」というもの。たとえば、タンパク質なら豆腐より肉、脂ならカノーラ油よりラードという選び方をしますので、覚えておくと迷わずに済みます。

 以下、避けるべき食品を一覧にしました。

【穀類】
米(精白米・玄米・餅)、小麦粉、麺類、パン、ソバ粉、シリアル、ビーフン、コーンスターチ

【イモ類】
ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、片栗粉

【野菜】
カボチャ、トウモロコシ、ユリネ、フルーツトマト

【果物】
アボカドを除く全般、ドライフルーツ、ジャム、フルーツ缶詰、フルーツジュース(100%果汁含む)

【豆類】
アズキ、ソラマメ、インゲンマメ、エンドウマメ、ウズラマメ、緑豆春雨、煮豆

【調味料】
砂糖、ハチミツ、カレールウ、ハヤシルウ、シチュールウ、ポン酢、ピーナツバター

【加工食品】
砂糖および小麦粉を使用した菓子全般、米菓、スナック菓子、アイスクリーム、ゼリー類、清涼飲料水、スポーツドリンク、野菜ジュース

【その他、要注意食品】
ギョーザなどの皮、パン粉、タマネギ、ニンジン、レンコン、クワイ、トマト、缶詰(水煮を除く)、佃煮、練りもの(かまぼこなど)

 ここにあげた食品も、すべては分量次第という面もあります。たとえば、ギョーザの皮も立派なものでは1枚20g以上。重量の約半分が糖質なので、5個食べれば50gにもなります。こうした落とし穴があちこちにあるので、自覚しないまま大量に食べてしまうことのないよう注意しましょう。上級者では、たとえば照り焼きのタレに入った糖分も見抜けるようになります。

 逆にいえば、そのほかで厳重なコントロールができているなら、カボチャの煮つけを1切れか2切れぐらい食べることも可能です。最初は戸惑うかもしれませんが、続けていくうちに誰でも慣れていきます。「どこまでやるか」は個人の考え方次第ですので、目的に合わせたメニューづくりを心がけてください。


種類を選べば飲酒もOK!!

『ブラックジャックによろしく』 佐藤秀峰作 (漫画 on webより)

3. 種類を選べば飲酒もOK!!

 この項は、多くの皆さんに歓迎されるはず。タイトルどおり、アルコールを飲んでもOKです。

 注意するべきは、そのお酒が醸造酒か蒸留酒かということだけ。日本酒などの醸造酒は糖質が多いのでアウトですが、蒸留酒は糖質が少ないのでOKなのです。

 飲んでいいのは、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ジン、ラム、焼酎、糖質ゼロのビール類など。赤ワインは多少なら可、白ワインは我慢しましょう。

 通常のビール350mlに含まれる糖質は10~12gですから、その他の食事で糖質が少ないのなら許容範囲かもしれません。このあたりも、個人によりけりです。

 飲酒OKといっても、アルコールの分解のため肝臓のグリコーゲンは枯渇します。すると、脳が糖質を欲してしまいますし、飲みすぎが体によくないことは説明の必要もありません。くれぐれも、適量で楽しまれることをおすすめします。