〔おかまいもしませんで〕

#7 「糖質制限」は「カロリー制限」よりも古くからある

 糖質が体によくないという考え方は、つい最近生まれたものではありません。19世紀末の書物には記されているそうですし、私が見た中で最も古いものは、1917年にアメリカで発行された『Diabetic Cookery』(Rebecca Oppenheimer著)です。

 この本は、University of California LibrariesのPDF文庫の中に所蔵されています。ダウンロードも可能なので、英語に堪能な方はお読みください。

 タイトルの『Diabetic Cookery』は、直訳すれば『糖尿病のための料理』。当時すでに、糖尿病が問題になっていたことがうかがえます。

 ここで注目すべきは、刊行年度。インスリンの発見は1921年ですから、1917年はその4年前です。なのに、Rebecca Oppenheimerさんは肥満の仕組みを見抜いていました。

 それは、この本が禁止している食物を見れば歴然です。私たちにはなじみのない食品を除外して列挙してみます。

 砂糖、すべてのデンプン質の食品及びデンプン、パイ、プディング、小麦粉、パン、ビスケット、ライス、大麦、オートミール、タピオカ、マカロニ、タマネギ、すべての甘いドライフルーツ、ハチミツ、すべての甘口ワイン、リキュール、シロップ、ビール、チョコレート、コンデンスミルク……などなど。

 いかがでしょうか? 徹底的に糖質を排除しています。

 繰り返しますが、この本は1917年の出版。つまり、糖が体に悪いということが、当時すでにわかっていたのです。

 それなのに、1970年頃から世界的に「カロリー制限」が隆盛を極めます。ここに、医学と栄養学の一つの不思議があります。

 それについては、いずれ機会があればこのコラムで触れてみたいと思います。