〔おかまいもしませんで〕

#5 息子の起立性調整障害が改善①

 私には、中学3年生の息子がおります。この息子が昨年病気になり、2年生の2学期と3学期のほとんどを休むことになってしまいました。

 病名は、「起立性調節障害」。昔は自律神経失調症などと呼ばれていたもので、その名のとおり、立ち上がるとフラフラしてしまうのが主な症状です。常に頭がボーッとしているので、学校に行くどころではありません。

 横になっていた状態から上体を起こすとき、人体は血管を細くすぼめて、脳への血流をキープしようとします。ところが、起立性調節障害ではそれができません。ですから、脳の酸素が一気に足りなくなってフラフラしてしまうのです。

 本来、人体は朝になるとアドレナリンが出て活動的になり、夜にはノルアドレナリンが出て鎮静化します。起立性調節障害ではこの作用も逆になってしまうので、朝になってもなかなか起きられない日が続きます。

 起きた後も、頭痛や腹痛、吐き気などをずっと訴えます。そんな状態が2週間ほど続いたある日、新聞に起立性調節障害の記事が載っていたのを家内が見つけました。読んでみると、すべての症状が息子に当てはまります。

 ネットで調べてみると、わが家の最寄り駅から地下鉄で1駅隣に、この病気に詳しい小児科医のクリニックがありました。さっそく連れて行くと、医師は「これは間違いなく起立性調節障害ですね。午前中がつらいので、血圧を上げる薬を処方しましょう」ということになりました。

 ところが残念ながら、その薬は息子に合いませんでした。「吐き気が余計に強くなるから飲みたくない」と言うのです。確かに、薬の説明書には吐き気が出る場合があると明記されていました。

 本職が小児科医である今西康次先生に相談してみると、「起立性調節障害の薬は、ほぼ一択でそれしかない」というお返事でした。

 それなら、次なる一手はあれしかありませんでした。