〔分子から考える栄養学〕

栄養療法にハマった理由②

 最初は、「どうせサプリメント屋の営業セミナーだろ?」なんて疑いの目をもっていました。それが、まさかの「生化学の講義」だったことには本当に驚かされました。「根本的に治すためには、体の反応を知らないといけない」と聞いて、直感的に「予防歯科につながる!」と思ったのがキッカケで、自分でも研究するようになりました。

 その後、たまたま妻トモコの血液検査があったので、「栄養解析」というものに出してみたんです。無料でしたし。

 結果は、「よくこれで普通に生活できてるね」というレベルでした。トモコは、ひどい貧血だったのです。その数値は、こちらでご覧になれます。

 そこで、ものは試しにと「ヘム鉄」を飲ませながら、トモコの栄養状態の改善を図りました。ついでに、自分の食事も変えてみることにしました。「くびれしぴ」です。

 「くびれしぴ」は、長岡でやっている「みんな大学」という市民サークル(私もよく参加しています)でつくられた、LCHP食を指す新しい言葉。糖質制限の「制限」というのがどうにも気に入らなかったので、何かないだろうかとみんなで考えて「くびれるレシピ」から生まれた言葉です。

 そんな具合に、トモコと自分とでいろいろ試し始めました。トモコには「周りに影響されやすいんだから……」と言われつつ、とにかくブログの記事にして知識の整理をしていきました。知識のアウトプットの場としては、「みんな大学」に「健康科学部」というのを立ち上げてみたりもしました。

 そうして私は、歯医者のくせに栄養の勉強ばかりするようになっていたわけです。


(よしおか・ひでき)
新潟県長岡市のブレス・デザイン デンタルオフィス院長。体の栄養状態から口内健康を考える診療を行う歯科医として知られ、その知識と技術を求める患者が全国から訪れる。保険診療を行わない点もユニーク。北海道大学歯学部卒。